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負傷猫は譲渡返還が可能
負傷猫引き取り制度の疑問



■負傷猫の適正な対応について、市福祉局及び直接区民と対応が迫られている各区の生活衛生課宛にもお願いの文書を提出致しましたところ下記の通り、521日付け福祉局から回答がありました。

 

横浜市健康福祉局御中                   平成22430

飼い主不明の負傷猫の適正な対応の要請

 前略、横浜市の指定病院委託事業の一つである負傷猫の扱いにつきましては、かねてより問題点を提示させていただいているところでございますが、本日 以下のように、早急に区役所担当職員様に当該事業の適正な遂行をご指示くださるようお願い申し上げます。

 

負傷猫事業の適正な対応とは

1) 負傷猫の病院受け入れの際には、区役所職員が立ち会い、病院と治療方針や治癒後の対応について協議する。

 

2) 治療後は区役所職員が発見者に連絡をとりつつ譲渡、返還または、もとの場所へ戻す。(病状が不可逆的で苦痛が激しい場合の安楽死措置はやむを得ない)

 

上記のような対応をしなければならない理由

1) 自立している飼い主不明猫を横浜市は引き取らなくなりました。

 

中軽傷猫は少しの治療で自立した状態に戻ります。あるいは少し不具合でも自立した状態のまま運び込まれることもあります。その場合は治療後、自立している飼い主不明猫として元の場所へ戻すことが必要です。元の場所の確認や戻す(状況により譲渡)作業のために区役所職員が発見者(拾得者)と協力して対応する必要があります。

 

2) 指定病院へ自分の飼い猫を負傷猫として持ち込む人もいます。また、治療をお願いしておきながら連絡先がわからない人もいます。このように、病院に迷惑をかける無茶苦茶な猫の搬入を回避するためにも区役所職員が治療の開始と終了時に立ち会うことが必要です。

 

3) 市の委託事業としての客観性と透明性を保つために、治療前、治療後に区役所職員が当該猫を確認しておく必要があります。

 

殺処分を前提に治療する制度ではありません。 しかも市全体でも年間わずか30頭前後です。

命を救うという前提にたてば充分対応が出来るはずです。

このような対応を指示していただけるかどうか早急にFAXにてご回答下さい。

■各区生活衛生課あてのお願い

生活衛生課御中           

飼い主不明の負傷猫の扱いに関しまして

 

前略、日頃はご公務有難うございます。

この4月から自立している所有者不明猫の引き取りは廃止されました。

つきましては、負傷した飼い主不明猫も従来のように治療後、殺処分していたのとは違い、委託獣医師のもとで治療を受けた後、治癒した猫は発見された場所に戻す必要があります。

 

そのためには、区役所の担当職員様は、市民から負傷猫発見の知らせを受けたら、委託する獣医師と症状や治療方針等を協議していただかなければなりません。 そして、治療後、ある程度治癒した猫は発見者に権利がありますので(拾得物)、発見者と協議し、発見者に託すか元の場所に戻すかしなければなりません。

 

煩雑に思われるかもしれませんが、横浜市全体の1年間の負傷猫は約200300匹であり、1区については平均1カ月につき、たった12匹です。

 

お忙しいとは思いますが、市民、区民の税金から指定獣医師に1匹2万円以上の治療費が払われている事を考えれば、当然、委託する側の職員様がしなければならない業務であると存じます。

 

自立している飼い主不明猫の引き取り、処分を廃止した意味を十分にご理解のうえ、負傷猫につきましては、治療の本来の目的通り、発見者と相談して新しい飼い主を見つけるか、もとの場所に戻すかの2通りの方法をとっていただきますようお願い申し上げます。(なお治癒の見込みがなく症状が苦痛に満ちている個体については獣医師と協議のうえ、安楽死の方法をとることは致し方ないと思われます・この場合は重傷猫扱いとなり獣医師への委託費も変わってまいります)

 

従来のようなすべてが致死処分となる負傷猫の扱いは法律に照らしても税金の用途としても大変問題がありますので、なにぶんよろしくお願い申し上げます。

 

市からの回答です

  

 430日に文書でご要望いただきましたけんについて、お答えいたします。

要望

回答

1)負傷猫の受け入れの際には区役所職員が立会い、病院と治療方針や治療後の対応について協議する

負傷した猫の引取りについては、重傷、中軽傷合わせて年間25頭余り実施しており区民から区役所へ通報がある場合や直接動物病院に持ち込まれる場合などがありますので、必要に応じて区役所の職員が対応する場合もあると考えています。又治療方針や治療方法については、獣医師の判断を尊重しています。

2)治療後は区役所職員が発見者に連絡を取りつつ譲渡返還または元の場所へ戻す。(症状が不可逆的で苦痛が激しい場合の安楽死措置はやむをえない。

現行の制度では、一度引き取りの対象となった猫については返還譲渡が出来ない場合は殺処分となります。負傷した猫が保管期間中に治療により回復し、自活している猫と看做せる場合の処置方法については、今後の課題として認識しております。なお、現行の制度内でも発見者への譲渡や負傷した猫の世話をしている人が特定できる場合については返還することが可能です。

※中軽傷猫とは、加療すれば完治する猫であることが前提である以上、これまでのように治療を受けたのか即殺処分になったのか不明であるとした福祉局の回答は大変疑問でした。しかし今回の「加療後回復した場合返還することが可能」であるとの回答により発見者の協力があれば自活できる猫として元の場所に返還することができることが明確になりました。

 


■負傷猫の引取り

4月から横浜市では、自活している猫の引き取りは廃止されましたが、負傷猫(重傷猫・中軽傷猫)の引取りは継続されます。平成16年度から20年度までの各年の引取り数は以下のとおりです。

 

 

H16

H17

H18

H19

H20

負傷の程度

重 傷

294

282

275

206

214

負傷の程度

中軽傷

41

28

30

36

32

  計

 

335

310

305

242

246


負傷猫の引き取りには、重傷猫/7,053円・中軽傷猫/22.174円が委託獣医師に支払われています。内訳は、重傷猫は殆どが致死処分費用と思われます。 中軽傷猫は3日間の保管料が6,336円・差額は治療費であると福祉局より回答を得ています。治療して回復を目的としていると言うことです。

 しかしながら、中軽傷猫のその後について、@致死か?A譲渡か?B返還か?の問いに対し3月10日付の、福祉局からの回答には、「中軽傷猫のその後の処分数(致死処分。譲渡等)については集計しておりません。」とありました。 この回答では、実際に治療を行ったかどうか確認も出来ず、殆どが致死処分になっていたと疑わざるを得ません

引取り時、持ち込み人が署名し、引取り獣医師が必要事項を記入すべき「念書」には、単に「中軽傷猫」の記載はありますが治療の内容を記載しているものは殆どありませんでした。 当然カルテも無いものと思われます。

市民の税金で行われている事業は必ずその本来の目的のために使われなければなりません。 22,174円と言う多額の治療費を受け取っていながら、治療内容も明らかにされず、このようにすべてが致死処分となる負傷猫の扱いは法律に照らしても税金の用途としても大変問題があります。 愛護センターがオープンすればこのような不適切な負傷猫の委託業務もなくなると思いますが、それまでの間は、他自治体の実例などを参考に即刻適切な対応が望まれます。

 同じく負傷猫の治療を獣医師会に委託している富山市の例では、委託費は実費で支払われ、区役所の職員が立ち会って治療方法・その後の猫の扱いも発見者も交え相談しながら進めています。

■負傷猫発見から治療後に至る処理方法の比較 

(2市のホームページ、公式文書から)     

1)負傷猫の発見者が区役所に通報した時

 富山市: 原則、 担当職員が負傷動物の収容と応急処置の適否を判断し、指定動物に連絡・協議する。休日などで発見者が直接搬入する場合は、治療前に病院側から担当職員に連絡を取り、治療の適否について協議する

 横浜市: 担当職員は負傷動物を確認しない。担当職員は病院と協議しない。

) 猫の病院への搬入

富山市: 原則、担当職員が病院に搬入(休日、緊急時は発見者が搬入する場合も)

横浜市: 発見者が搬入(区職員の場合も)

3) 治療方針

富山市: 必ず担当職員が病状を指定病院獣医師と協議のうえ方針を決定する

横浜市: 市のチェック無し

4) 治療内容についての報告、審査

富山市: 治療を行った獣医師からの業務完了報告により請求内容が適正であるかどうかを確認の上、上限8330円の範囲で当該獣医師にお支払われる

横浜市: 市のチェック無し、治療内容について市は把握しない

5)治療費

富山市:上限1頭につき8330円の範囲

横浜市:一括22.174円

6) 使われなかった治療費の処理

富山市: 予算よりも支出額が下回った場合は毎年決算上で不用額(使わなかった予算)として整理し、市全体の収入・支出の差引残額の一部として次年度以降の市全体の予算の財源となる

横浜市: 不明

7) 治療後の処理

富山市:  治療後の猫は、返還及び発見者又は新しい飼い主で飼養することになる

横浜市:: 市は把握しない。すべて致死処分となっていると思われる


以下、富山市のシステムのフローチャートです。参考にしてください。
http://www.city.toyama.toyama.jp/division/fukushihoken/hokenjyo/09620/15/15-4-1/15-4-1PDF1.pdf

負傷猫治療にかかわる経費は猫の「返還・譲渡」という効果をあげるために市民が税金で負担しています。2市の比較から横浜市がいかにずさんな負傷猫治療の委託事業を行っているかが浮かび上がってきます。

どんな治療が行われ、どのような結果となったかの詳細な報告を受けて初めて、指定病院にその治療行為の対価として経費を支払うのが市民の税金を預かる行政の本来のあり方ではないでしょうか。

こんな対応をされた引取り獣医師もいらっしゃいました。

本年3月 委託獣医師の港南区M先生に交通事故と思われる猫が警官、発見者が運び込み、治療にはいりました。 3日を過ぎても治療を続け、希望者に譲渡しました。 4日目からは譲渡期間に入るとの環境省の見解に沿った対応だと思います。 発見者、譲渡希望者に費用の請求はありませんでした。


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